7/26 JPモルガン・チェース銀行 佐々木融

 予想レンジ(一週間)
 109.50円~111.50円
 注目ポイント
 日本の不都合な真実

安値(7/26~7/30) 高値(7/26~7/30)
109.361 -13.9 7/30(金) 110.584 -91.6 7/26(月)

連休中の動きを受けて今週はどういう見通し?

 連休中は欧米株価が上昇してリスクセンチメントの改善から円が最も弱い通貨となり、ドル/円は110円台半ばまで上昇している。

 本日はFOMCを前に動きづらい展開が予想されている。

注目ポイントについて

 コロナ禍でのオリンピックも始まり、今年は将来歴史を振り返るときに重要な年となると考えられる為、為替相場からみた日本の現状を確認したいと思っているが、円の実質実効レートはアベノミクス開始以降1970年代前半と同じ大幅な割安水準に落ち込んだまま戻らなくなっている。

 この背景には日本にとって様々な不都合な真実があり、その一つとして実は過去20年間で日本の物価は2.6%しか上昇していない一方、主要国は40%~50%上昇していて、本来円の価値は上昇しているが、実際の為替市場では円高になっておらず、その結果円が実質的に割安な水準となっていて、海外の物価が割高になっているという状況になっている。

なぜ物価上昇率の差に沿う形で円高にならなくなっている?

 色々要因はあると思うが、更に不都合な真実を挙げるとすれば日本の投資家が国内に投資先がない為、割高でも外貨建て資産を買い続けているとか、日本企業も対外直接投資を続け利益も海外に留保しているといった、資本的・逃避的な行動をとっているということが考えられる。

つまり日本人が日本に投資をしなくなっているということが原因ということで、このまま円の割安化は続いてしまう?

 はい──日本は平均年収が過去30年間ほとんど変化していないが、その他主要国では概ね1.5倍から2倍に増加している。

 つまり、円安に加え給料が他国と比べ相対的に低くなっている結果、日本の平均年収は2000年時点ではOECD加盟国中3位で高所得国だったが、いまでは20位と中所得国になってしまっている。

 この中でもこの世界との差は開いていて、今後名目上のドル/円相場が多少円高になってドル/円が100円を割れるようなことがあったとしても、実質にはまだ円は割安で、こうした実質的な円の割安化は日本企業が日本に投資をしたくなるような日本経済の構造変化がなければ止まらなくなっている可能性があるのではないか。

割安になっていく円で給料もらっていると思うが、そういう人達にとって自分達の資産運用を考えるときに、どういう風な対応をとれば良い?

 長期的には名目の為替相場は少し円高となる可能性もあるので、外貨を持つだけでは駄目でインフレに強い海外資産を保有する必要があるのではないかという風に考えている。